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アフターコロナの都市計画に向けて(前)

ドイツは、3月中旬から3か月の間に、急速なロックダウンから緩和という激変を経験しました。ASOBUにとっては、会社設立当時からテレワーク、デジタル化をベースとした働き方をしていたため、仕事をする上では大きな変化がありませんでしたが、「住む」という観点では、社会が新たな価値観を見出す体験となったことを感じています。

目的間の移動
これまでは、特に学校、仕事と家の往復、これに買いものや趣味という目的地が加わり、定期的にその間を移動するという生活が当たり前でした。コロナ禍では、不要な移動を減らし、家を中心に、いかにそのエリアで目的をこなすかという生活にシフトことで、緩和が始まってからもそこで得た価値観に注目が集まったわけです。

必要な範囲では多くの人がソーシャルディスタンスを保てる移動を求め、これまで以上に自転車やe-バイク、e-スクーターを利用するようになり、人気商品は長期間の納品待ちまで出る状況となりました。特にe-スクーターでは、遊び感覚だけでなく、移動の利用者が増え、平均走行距離も伸びていると言います。

このように、不要な移動をしないライフスタイルを作る、インディビジュアルかつエコな手段で移動するという傾向が、これまで以上に加速していくと予想できます。

住まいから生活拠点へ
ホームオフィスやホームスクーリングといった、活動の中心を家で行うだけでなく、趣味やリラックスの時間も家で過ごすことが多くなりました。そのため、静かに仕事できる、あるいは短時間でも引きこもれるスペースが必要となったのです。

結果として、家のクオリティ向上を求める、近年オープンになってきた間取りのあり方の見直しなど新たなトレンドが出てきています。また、家の中で照明や空調の操作をする機会が増えたこともあり、スマートハウスのようなシステムで、携帯1つでいろいろと操作したいという需要も増えると言われています。

体験する屋外空間
ドイツのロックダウン中に販売量が激増したのは、第1位がトイレットペーパー、第2位が園芸用土という統計があります。春先にコロナが来たという時期も背景にありますが、出かけるところもないので、多くの人が庭仕事に没頭したという結果でもあるのです。

面白いのは、庭に手入れや収穫といったアクティビティにつながるものや、昆虫が集まりやすい植物を植える人が増えたというところです。つまり、何かをする、何かが起こる空間で時間を過ごしたいという希望が形になったわけです。ここ数年、庭を芝生や石・砂利だけでなく、生物多様性を持った空間にすべきだという動きが出てきましたが、偶然にもコロナがこれを後押しする結果となりました。

これと比較して、集合住宅の住人はアクティビティを公園で行うようになりました。国内では、森林などを除いた1人当たりの施設緑地面積が大きいため、大都市部でも各地に散歩やジョギングができる公園が多く、こうした空間でフィットネストレーニングやヨガ、ドリンクや食べ物を持ち寄って少人数で集まるといった活動が、ソーシャルディスタンスを維持しながらできるということでこれまで以上に活発になりました。そして、クオリティの高い都市部の緑地がいかに重要であるか、再認識することになったのです。

これからのプランニングへ
ここに書いてきたことは、アフターコロナにもつながることの一部ですが、コロナを経て得られた、これからの都市や地域を作るうえで重要になるヒントは、職、住、食、エネルギーなどいろいろあります。実はその多くが、この数年間、今後の理想のプランニング像として追い求められてきたものなのです。

これから都市・地域計画はどう変わっていくのか、何を考えなければならないのか、次回コラムではこれからのプランナーの課題について触れたいと思います。