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アフターコロナの都市計画に向けて(後)

コロナで都市はどうなっていくのか、どう変わるべきなのか、前回の住まいレベルから、今回は対象を広げて書いていきたいと思います。

 

自宅と近所はハイクオリティな生活拠点へ

すこし前までは自宅で睡眠や休息をとり、労働や余暇はべつのところでというライフスタイルが多かったと思います。いまではホームオフィスなどだけでなく、スポーツ、趣味や人との交流も、家や近所の公園など行うことが多くなりました。つまり、自宅は住まいから生活拠点へと変わっていったのです。

こうして家の中で仕事やリラックスなどができる空間をつくるため、間取りや家具で工夫をする人がふえてきました。おなじように、公園や緑地はひとりで、あるいは人と時間を過ごす場になりますので、今まで以上にアクティブに使えるように、スポーツ器具や遊具、くつろぎの場などを強化していく必要があります。

また、緑地をつなぎ合わせてグリーンネットワークをつくることで、鳥や動物などが行き来できるようになり、生物多様性を守るほか、快適な自転車通勤ができるようになります。

快適かつ少ない移動

ドイツではコロナを通して、自転車による移動が30%ほど増えた都市もあります。これは公共交通での移動に不安があるという反面、自転車で行ける範囲のできるかぎり近場で用を済ませたいという、考え方の変化の結果といえます。

ホームオフィスが急増したことで街中は車が減り、キャパシティが余っている車線を自転車専用レーンに変えたところもあります。車との距離が近い、また、ソーシャルディスタンスが保てないというこれまでのレーンとはちがい、利用者は快適に移動ができます。e-バイクやe-スクーターのようにスピードが出る乗り物であれば、安全性を高めることにもつながります。

 

多様化と柔軟性が鍵

ドイツの平均通勤時間は往復で45分ほどですが、コロナを通じて、リスクをへらすだけでなく、移動をもっと減らしたいという声がこれまで以上に大きくなりました。このためには、住まいとはたらく場、買い物や趣味への距離を短くする必要があります。

町の中心部や郊外でも同じですが、エリアや建物の使い方にもっと多様性があれば、離れたところまでの移動を重ねることはいらなくなる。つまり、住宅地、オフィス街、工業用地という機能ごとに分かれていたものを、もっとミックスしていくことです。

もちろん生活の場から遠いほうが良いものもありますが、土地利用を用途ごとに仕分けしてきたドイツや、それが緩かった日本においても、多様な使用を広域で計画的におこなうことがカギとなります。そのためには、建物の一角から広場まで、いろいろな使い方ができる、柔軟性の高いスペースが欠かせません。

消費と供給が変わる

コロナへの不安により、インターネットで買い物を済ませる人や、ビジネスを行う企業が以前にもくらべて増えました。そうすると、小売店などは業種によって、まちから姿を消すことも出てきます。こうしたスペースはギャラリーや工房、その他の活動の場として変わっていくことになり、エリアに多様性をつけるツールになります。つまり、商業の中心から、本来の街の魅力である、住まいの近くに交流や文化の拠点があるといった姿へと変えていくべきなのです。

もうひとつは、地産地消の動きが強くなることです。例えば、野菜などの新鮮なものが、都市でも近所で作られていれば、緊急時などでも供給がストップするという不安は減ります。こうした都市型農業はプロフェッショナルのものもあれば、趣味の一環として参加できる提携型から家庭菜園まで、これまで以上に注目を集めることになります。

近年の傾向が加速

コロナで生活スタイルが変わることにより、都市のあり方も変わらなければならないという話をしてきましたが、これまでにあげてきた変化は新しいものではなく、この数年間すでに始まっていた、または、将来の理想として取り組まれてきたものなのです。一つ違いがあるとすれば、それが加速したことと言えます。

これまでは、変えていくべきだと言われていたものも、優先順位として後回しにされることが多かったという歴史がありますが、今ではコロナをへて、都市計画も変化を急ぐことが不可欠となったとみることもできるのではないでしょうか。